ついこないだも、コメントを頂いたメグさん「昔、クシで思い切り耳を引っ掛けられてから美容室は苦手になった・・・」と爪を伸ばす美容師は是か非かと話題になったばかり。
技術的な観点から言えば、クシの歯はキチンと地肌に当たり髪の根元から梳かしてからカットしないと正確なカットはできない・・・。これは正しいのです。100点です。しかし、誰もお客さんが痛みを感じるほど、ガリガリ引っ掻きながらも根元からクシを梳かして、耳の位置も無視して髪の毛優先でガリガリ梳かせとは言っていない。
僕が美容師を育てるとき、後輩指導にあたる時、必ずする事があるんです。どうすれば不快感を与えるか、何をされたらお客さんは嫌がるのかを体験してもらう・・・・。まず椅子に座らせて、僕がクシを持って、ガリガリ頭皮を梳かし、ガンガン耳にクシを当ててあげるんです。どれだけお客さんは痛いのかを感じ取ってもらいます。体罰ではありません、実践練習である。
首に巻いてあるタオルがキツイとどんな感じなのかも巻いてあげるし、シャンプー時に爪を立てればどれだけ痛いかも体験してもらう。人間と言うのは、自分がされた時に初めて分かったりするのである。
僕が日本に住んでいたときに良くやっていたことが、お客さんのふりをして他のサロンに髪を切りに行くのである。安い店ではなく、高級店でもない、そこそこ3500円~4000円くらいのサロンである。別に偵察とかスパイとかではない、自分がお客さんの視線に立ったときに初めて見えるものがある、いつも美容師側に立っていると毎日の事なので見えなくなっている事も、時々お客さん側になると180度違った世界が広がって見える。
5000円払うテクニックやニュースタイルの講習会も大切だけど、これはまた違った意味で価値のある勉強方法である。
「何をされたら自分は不快に思うか・・・」 クロスのかけ方、タオルの巻き方、シャンプーの洗い方、すすぎ方。クシの当たり具合、ドライヤーのかけ方、化粧品販売の勧めかた・・・・お客さんの立場になった時、テクニックなんてどうでも良いのである。髪の毛の引き出す角度が45度だの、アップステムだの、お客さんは分からないのです。結果的に自分の思うような髪形になり、手入れが楽にできて、持ちが良いのであれば最高であり、1時間4000円を払っている、その1時間という時間に不快感を与えずにリラックスして頂けるのか・・・。
そういう最低限、美容師以前の問題として優しさと思いやりを持てて、次に技術的なステムの角度や、正確なカットライン、必要最低限の削ぎ&梳き・・・。
もう一度、理・美容師としてテクニックを求める前に、人として大切な何かを考えていければ素敵な事かなって。理美容師だけではない、全ての職業に当てはまることだと思う。
そんな僕も、完璧にはできない、まだまだ修行中である。理・美容師と名乗っている以上は一生勉強、向上心を失った時、僕は鋏を置くときだと思ってる。
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